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G.Rina
Dec 02,2010 UP E王

G.RinaMashed Pieces #2

Melody & Riddim

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 現在のUKを中心とした、ダブステップから派生した最新鋭のビート・ミュージック――より多様に拡大するポスト・ダブステップをはじめとした、UKファンキー、ウォンキー、スクウィーなどなど――は、いま最大の隆盛を迎えつつあるわけで、最新の12インチを追いかけている熱心なビート・ジャンキーな方々(僕も含む)にとっては、懐を心配しながら過ごす毎日かと思う。そんな未曾有の活況を見せる欧米のシーンに対して、「日本からのリアクションはどうなのよ?」という素朴な疑問をお持ちの方にこそ、G.Rinaの2年振りとなる新作『マッシュト・ピーシーズ#2』を是非とも手に取ってもらいたいわけです。

 2010年の彼女はエクシィ率いる〈スライ・レコーズ〉のパーティ、Dommuneでの「ダブステップ会議」後でプレイしているように、UKのクラブ・カルチャーと明らかなシンクロをみせている。いまもっとも旬のクラブ・トラックを華麗にミックスする彼女のプレイを聴いて、僕はすっかり打ちのめされてしまったわけだが、そんな彼女の冒険心から生まれたのが『マッシュト・ピーシーズ#2』である。これは昨年末にブートとして限定リリースされた『#1』の続編で、『#1』では欧米のダブステップのトラックをリディムとして捉え、そこに彼女が歌を加えてマッシュアップするといった手法をとっている。『#2』では、『#1』で録音した彼女のアカペラを使って、国内のトラックメイカーが新たにリディムを加えるという斬新な試みが展開されている。
 そして本作は、国内の新進トラックメイカーのショウケースでもある。前述したエクシィをはじめ、スカイ・フィッシュ(彼はベース・ミュージックのトラックメイカーとして本当に素晴らしくて、昨年のアルバム『ロウ・プライス・ミュージック』は、自分にとって昨年のベスト・アルバムの1枚)、ラヴロウ&BTB、ラバダブ・マーケットのE-MURAら、現行のビート・ミュージック・シーンと共振する個性派たちが揃っている。
 そしてトーフビーツ、今年最大の話題の1枚、インターネット・レーベル〈マルチネ〉の『MP3キルド・ザ・CDスター?』への参加も記憶に新しい平成生まれのトラックメイカーも名を連ねている。いまから2年前、彼がまだ17歳の頃にリリースしていた自主制作盤『ハイスクール・オブ・リミックス』を聴いてから、彼のトラックに夢中になっていた僕にとっては、彼が参加しているという事実だけで、このアルバムを購入するには十分な理由だったわけで......。

 E-MURAのリディムによウォブリーなベースラインが強烈な変化球なファンキー"スロウ・アウェイ"でアルバムは幕を開ける。プレイヤのカトクンリーとG.Rina本人によって結成されたユニット「(dub)y」による"ファースト・テイスト"、続くエクシィによる"L.Y.D."は、どちらもコズミックなシンセサイザーが特徴的だが、現場で揉まれたグルーヴを持っている。スカイフィッシュによる"シーズンズ"は、スティールパンの響きが心地良いトロピカルなダンスホールで、ラストを飾るTNDによる"キープ・オン"は、クワイトのリズム・パターンを取り入れながらジョイ・オービソンとも似たエレガントさをも匂わせている。
 『マッシュト・ピーシーズ#2』は、素晴らしい同時代性を持っている。国内のシーンの生気に満ちたカッティング・エッジな音を確実に伝えている。アイコニカ以降さらに顕著になったロウビット、サブトラクトやファルティDLらが盛り上げるフューチャー・ガラージ、これら新しい波とも共振する。マグネッティック・メンのヒットによってポップ志向のヴォーカル・トラックもだいぶ注目されているが、その点でもこのアルバムは応えている。彼女の歌声はトリッキーなビートに乗ることで、地下室の艶やかさを孕みながらいっそうとメロディアスに輝いている。アルバムの終盤では、ラヴロウ&BTBによる"国道1号線"、ベータ・パナマによる"ワーキング・ハード・シンス......"のような、艶かしいエレクトロ・ファンクが収録されている。

 僕にとってのこのアルバムのベスト・トラックは、トーフビーツによる"ディドゥ・イット・アゲイン"。今年のベスト・トラックのひとつに挙げたいほどのこの曲は、ロウビット経由のカラフルなダブステップでありながら、バグの発生したTVゲームの画面のごとく、狂ったほどにスクリューのかかった、スクウィーじみたエフェクトがクレイジーだ。間違いなく彼は日本のトラックメイカーたちのなかでも強烈な個性を放っているひとりだが、まだ20歳になったばかりだ。先日、代官山UNITで開催された〈マルチネ〉によるパーティ「THE☆荒川智則」も大盛況だったというが、この『マッシュト・ピーシーズ#2』もしかり、新しい感覚をもったこの国のビート・ミュージックは、大人たちが知らないあいだに、すでに未来へと向かっている。時代とシンクロしながら独自の発展を遂げている国内のシーンの、2010年のドキュメンタリーのひとつとして、このアルバムを聴いてみるのもいいんじゃないでしょうか?

加藤綾一

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