2023/06/26 MON 21:00-23:30

UPLINK & DOMMUNE Presents

<緊急番組!!> 追悼・ケネス・アンガー「MEMORIAL LANTERN CYCLE」

出演:柳下毅一郎(映画評論家)、武邑光裕(メディア美学者)、宇川直宏(”現在”美術家)

■生ケネス・アンガー本人と対話した3人が、氏の功績を振り返り、謹んで惜別の番組をアンダーグラウンド・フィルム・ラヴァー捧げる一夜=追悼・KENNETH ANGER「MEMORIAL LANTERN CYCLE」!!!!!!!

アンダーグラウンド映画の帝王、ケネス・アンガーが5月11日にカルフォルニア州の介護施設で死去したと先月訃報が入った。享年、96歳。アンガーの作品を取り扱うギャラリー、Sprueth Magersが発表したもので「ケネスはパイオニアであった。彼の映画の天才性とその影響は生き続け、彼の映像、言葉、ビジョンに出合うすべての人を変え続けるだろう」とコメントを寄せている。
1927年生まれのケネス・アンガーは、17歳の頃に監督・撮影・編集・主演を兼ね、実質上の処女作「花火」(47)を完成させた。ハリウッドにあるアンガーの祖母の家で、家族が出かけている間に撮影されたこの作品は、性的な妄想にとりつかれた少年をアンガー自身が演じている。大挙して押し寄せる水兵たちに少年が暴行を受けるなどのサド・マゾ的、同性愛的描写や、ペニスが花火に変わるといった性衝動のイメージにより、発表直後、アンガーはわいせつ罪で逮捕されてしまう。事件はカリフォルニア州最高裁判所に持ち込まれたが、裁判所はポルノではなく芸術であると見なし、彼は無罪となった。この作品をきっかけに性科学者アルフレッド・キンゼイとの交流が始まり、1956年にキンゼイが亡くなるまで友情を育んだ。「花火」は、世界初のゲイ映画と言われており、ジャン・コクトーやテネシー・ウィリアムズらも絶賛している。
後にデビッド・リンチが「ブルーベルベット」(86)で用いた「Blue Velvet」など、数々のオールディーズと共にバイクを愛する青年を撮った「スコピオ・ライジング」(63)をはじめとした、ポップ・ミュージックとフェティッシュな視覚イメージを融合させた映像作品は、現代のミュージックビデオやCMの元祖と言われる。また、「アンダー・ザ・シルバーレイク」(2018)の元ネタというべき、ハリウッド黄金期の闇の歴史を暴いた「ハリウッド・バビロン」(59)の著者としても知られており、ハリウッド業界の逸脱したモラルを描いたデイミアン・チャゼル監督の最新作「バビロン」(2022)でもその影響がうかがえる。
数多のクリエイターに影響を与えたアメリカ・アンダーグラウンド映画界のヒーロー、ケネス・アンガーは、ミック・ジャガーや当時ミックのガールフレンドだったマリアンヌ・フェイスフル、作家のアナイス・ニン、レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジとも自身の映画でコラボレートしている。そしてアンガーの作品で重要な役割を担うボビー・ボーソレイユは「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019)で描かれたシャロン・テート事件の首謀者チャールズ・マンソンの「ファミリー」の一員であり、自身も殺人罪で無期懲役中だ。
また、アレイスター・クロウリーが説いたセレマの信奉者でもあったアンガーのオカルトへの探究心は自身のライフワークとなり、チャーチ・オブ・サタンの教祖アントン・ラヴェイとも親交深かった。その世界観は、超自然現象や儀式魔術などをモチーフとした「我が悪魔の兄弟の呪文」(69)や、「ルシファー・ライジング」(80)にも描かれている。そのような前衛的かつ実験的な作風は、マーティン・スコセッシ、デビッド・リンチ、デレク・ジャーマン、R.W.ファスビンダー、デニス・ホッパー、ガス・ヴァン・サント、ニコラス・ウィンディング・レフンら、時代やジャンルを越え名だたるクリエイターに多大な影響を与えた。近年、 エンパワメントやフェミニズムといった観点からも、魔女、魔術、オカルト”などが注目されるなか、GUCCIの2019年キャンペーンでアンガー自身がモデルに起用され、アンガーの魔術的な世界は再度脚光を浴びている。現代のミュージックビデオやCMの始祖と言われる鮮烈な映像は、時代を越え、ジャンルを越え、色あせることなく私たちを魅了する。2006年に作られたドキュメンタリー「アンガー・ミー」には、アンガー自らが生い立ちや映画人生、自作について語る姿が収録された。
そんなケネス・アンガーの追悼上映「マジック・ランタン・サイクル/MAGIC LANTERN CYCLE」が、氏の作品をリリースしているUPLINKによって、6/30(金)~7/2(日) 3日間限定(UPLINK吉祥寺)、7/15(土)・16(日) 2日間限定(UPLINK京都)で行われる。その追悼上映と連動した緊急プログラムとして、DOMMUNEは、追悼・ケネス・アンガー「MEMORIAL LANTERN CYCLE」のタイトルで、6/26(月) 21:00-23:30に追悼番組を緊急配信する!出演は「ハリウッド・バビロン」の解説を担当し、2000年代にケネス・アンガーにも会っている映画評論家の柳下毅一郎氏と、「マジック・ランタン・サイクル」の2本組VHSを1987年にBANDAI VISUAL傘下であるカルトレーベルMidnightより日本リリースし、レンタルビデオ店経由で列島全域にケネス・アンガーを拡散し、80年代末にNYの自宅にも訪問しているメディア美学者の武邑光裕、また、当時、武邑のリリースしたそのビデオでケネス・アンガーを体験し、2002年にスカイ・ザ・バスハウスで行われたケネス・アンガーの写真展「ICONS」のデザインを担当し、ケーブルTVの番組で本人にインタビューを果たしたDOMMUNE総裁、宇川直宏の三人!!!!!!! 生前の生ケネス・アンガー本人と対話した3人が、氏の功績を振り返り、謹んで惜別の番組をDOMMUNEよりアンダーグラウンド・フィルム・ラヴァー捧げる一夜……サイバースペースで合掌。

■<関連劇場上映!! UPLINK>

ケネス・アンガー追悼特集「マジック・ランタン・サイクル」&「アンガー・ミー」

■6/30(金)~7/02(日) 3日間限定(UPLINK吉祥寺)
■7/15(土)・7/16(日) 2日間限定(UPLINK京都)
https://joji.uplink.co.jp/movie/2023/18103

■<関連サブスク上映!! DICE+>

ケネス・アンガー「マジック・ランタン・サイクル」&「アンガー・ミー」

https://diceplus.online

●「映画を作ることは魔法をかけることである」

時代を越え、ジャンルを越え、名だたるクリエイターに多大なる影響を与え続けているアンガーの呪術的イメージの集大成「マジック・ランタン・サイクル」

■『マジック・ランタン・サイクル』<A_PROGRAM>(Total:90min)

魔術的神秘家アレイスター・クロウリーに捧げられた『ルシファー・ライジング』、アナイス・ニン出演のサイケデリックムービー『快楽殿の創造』、ミック・ジャガーが音楽を担当した『我が悪魔の兄弟の呪文』など、アンガーのめくるめく悪魔的イメージサイド。
①『ルシファー・ライジング』②『快楽殿の創造』③『我が悪魔の兄弟の呪文』④『人造の水』

■『マジック・ランタン・サイクル』<B_PROGRAM>(Total:71min)

魅惑的なイメージと音楽のコラージュがミュージック・ビデオの原型と言われるアンガーの最高傑作『スコピオ・ライジング』、男がただただ改造マシン を磨き上げる『K.K.K.』、古き良き20年代のモード『プース・モーメント』、ほろ苦く甘いファンタジー『ラビッツ・ムーン』、アンガーが17歳で監督した『花火』など、アンガーの憧れが詰まったフェティッシュ・サイド。
①『スコピオ・ライジング』②『K.K.K. Kustom Kar Kommandos』③『プース・モーメント』④『ラビッツ・ムーン』⑤『花火』

■『アンガー・ミー』(2006年/71分/原題:Anger Me)

出演:ケネス・アンガー、ジョナス・メカス
配給・宣伝:アップリンク

■「ケネスは本質を突く複雑な人物だ。つまり詩人だよ。」―ジョナス・メカス

神秘主義的映像や革ジャンにバイクというハードコアなイメージの映像で知られるアンガーの作品だが、本人は、映画の冒頭でジョナス・メカスが語るように「ケネスのことは、誰もがかなり気難しく、どうしようもない奴だと言っていたが、私が知っているケネスは誰よりも優しくて親切な人だったよ。彼は繊細で知的な天才映像作家だ」というのがよくわかる。
マヤ・デレンらと実験映画の配給会社「クリエイティブ・フィルム・アソシエーツ』を立ち上げた話、ジャン・コクトーに会いにパリに行き、シネマテーク・フランセーズでアンリ・ラングロワに採用され働き始めたこと、そのシネマテークでは収蔵していたエイゼンシュテインの『メキシコ万歳』のフッテージを再編集し、コッポラが所有していた35ミリフィルムを借りて、船のマストに掲げられる旗を赤色に手作業でしたエピソード。ローマに住んでいたときに接したフェリーニ、ヴィスコンティ、パゾリーニの話、『快楽殿の創造』を1958年ブリュッセル万国博覧会で3台の16ミリ映写機を同期させ3面マルチスクリーンで上映したこと。『ルシファー・ライジング』では、ルシファー役にキャスティングし、のちにマンソンファミリーの一員として投獄されたボビー・ボーソレイユと仲違いし、彼にフィルムを盗まれ落ち込み、映画監督をやめようと思った話。その後ロンドンに行き、そこで監督引退の気が変わり、ローリング・ストーンズとBFIの協力で、『我が悪魔の兄弟の呪文』を製作できたエピソード。そして、『スコピオ・ライジング 』がLAのミッドナイトスクリーニングでプレミア上映された際に、劇場に警察が現れ、映写技師と支配人が逮捕され、フィルムが押収されたこと。その後、カリフォルニア州の最高裁判所では公共の場での上映にふさわしいという判決が出て、映画の社会的価値を取り戻し、表現の自由に関しての先駆的な訴訟事件としてその後の映画の表現に影響を及ぼしたことを自らが語るアンガーの映画史である。
映画の最後でアンガーはこう語る。
「私は映像詩人だ。コクトーが生み出した流れを喜んで継承する。生は死と同じくらい神秘的だ。どちらも誰にも解けない謎だろう。恐ろしくて不可解な謎というより興味をかき立てられる謎だ。自分の次の大いなる冒険が死でも構わない。それは新たな挑戦だ」

https://joji.uplink.co.jp/movie/2023/18103

PROGRAM INFO
ENTRANCE ¥2000(●限定50人の超エクスクルーシヴなスタジオ観覧者を募集中です!Peatixから予約をお願いいたします!▶︎https://kennethangerdommune.peatix.com/ ●もしくはスタジオに直接おこしください!)
PLACE 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
15-1 Udagawa-Cho Shibuya-ku Tokyo 150-0042|Shibuya PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
SUPER DOMMUNE FLOOR GUIDE  MAP
  ■ ご来場者はカメラに映る可能性がごさいますので、ご了承のうえご参加ください。
■ スタジオには、クロークやロッカーございません。手荷物は少なめでご来場のうえ、ご自身での管理をお願いします。
■ ドリンク類はスタジオ内でお買い求めいただけます。お飲み物の持ち込みはご遠慮ください。
<新型 コロナウイルス等感染症予防および拡散防止対策について>