2021/02/26 FRI 20:00–23:00

ヒロ杉山「Drawing Leads to Another Dimension 1995-2020」出版記念番組

「ヘタうま日本史 ヘタうまは新表現主義か?」

出演 : ヒロ杉山、スージー甘金、伊藤桂司、宇川直宏

■ヒロ杉山「Drawing Leads to Another Dimension 1995-2020」出版記念番組
「ヘタうま日本史 ヘタうまは新表現主義か?」

1980年頃、欧米の美術界では、バスキアやシュナーベル、バセリッツによるニューペインティングとうムーブメントが起きていた。同じく日本ではイラストレーターの湯村輝彦[テリー・ジョンスン]が唱えた「ヘタうま」という概念が、多くのクリエーターに大きな影響を与え、ヘタうまブームが巻き起こっていた。ぞくぞくと新しい表現を目指す若者が現れたのである。湯村輝彦は、「ヘタうま」とは「一見ヘタなようで実はうまい」という意味だと言った、これは一見ヘタに見えるほどに絵に勢いがある、すなわちヘタうまは、日本の新表現主義なのでは?今回は、ヘタうまをテーマに、80年代、90年代の日本のイラストレーション、アンダーグラウンドな雑誌ガロについてなど、スージー甘金氏、伊藤桂司氏、宇川直宏氏と共に話していきたい。(by ヒロ杉山)

■ヘタうまとは

「一見(一聴)すると下手そうだが、よく見る(聴く)と下手さが計算されており、真似しようとしてもできなかったり、下手さが個性や味となっている」という意味の用語。イラストレーターでマンガ家の湯村輝彦が1980年代前半から使い始め、当時の日本イラストレーション界を席巻した。おもにイラストレーションやマンガ、楽器演奏において使われるが、下手さをテクニック不足ととるか、計算や個性・味と捉えるかは受け手の感性にもよるため、明確な定義はない。湯村が80年に刊行した糸井重里原作の『情熱のペンギンごはん』がヘタウママンガの金字塔となり、ブームの先駆けとなった。ほかには『金魂巻』で一世を風靡し、ヘタウマの開祖と呼ばれる渡辺和博をはじめ、蛭子能収、根本敬、みうらじゅん、しりあがり寿などがこのジャンルに入る。なかでも、しりあがりは横浜美術館での展覧会「日本×画展 しょく発する6人」(2006)や広島現代美術館での個展「オヤジの世界」(2007)でインスタレーションを発表するなど、美術の領域にも活動の幅を広げている。これは、本来は物語の挿絵や説明書の図解など、印刷物の文字情報を補助するための図版であったイラストレーションが、ヘタウマという表現の多様性を獲得したことにより、美術との境界が曖昧になってきたことを示す現象ともいえよう。 (Text by 田中由紀子 from 現代美術用語辞典ver.2.0 - Artscape)

■ヒロ杉山「Drawing Leads to Another Dimension 1995-2020」

アート、グラフィックデザイン、映像制作など多方面で活躍するアーティスト ヒロ杉山(ENLIGHTENMENT/エンライトメント)が、1995年より25年間描き溜めたドローイングの中から、1200点を収録した作品集「Drawing Leads to Another Dimension 1995-2020」を、500冊限定でリリース。本書は、ヒロ杉山が湯村輝彦率いるフラミンゴスタジオに所属し、様々なアーティストから刺激を受けた20代の頃から、25年間、真剣にそして無心で毎日描き続けてきた、未発表のドローイング作品約2000点のうち1200点を収録。カラー、モノクロ、水彩、インクなど様々なスタイルで描かれたドローイングは、ヒロ杉山の25年間アート人生の変遷を表しています。クラウドファンディングを活用した作品集の制作過程においては、目標金額を大幅に上回ったため、予定より60ページ追加した全380ページの大迫力の1冊になりました。

■ヒロ杉山「Drawing Leads to Another Dimension 1995-2020」
【判型】ハードカバー / 380ページ / A4変形 / カラー 【発行部数】限定500部 【本体価格】8,000円(税別)

ヒロ杉山からのコメント「作品集の構想は、4、5年前から、頭の片隅にずっとありました。しかし、作品数が余りにも膨大すぎて、それらを整理して、出版するというこのプロジェクトになかなか手が付けられずにいました。それがコロナウィルスの影響で、チャンスがやってきました。こんな時だからこそ、守りに行かず、攻めなければ!と言う気持ちが、背中を押してくれ、出版する決意が固まりました。人生初のクラウドファンディングにも挑戦してみました。嬉しいことに沢山方々から支援と応援のメッセージをいただき、出版する事ができました。」

■ヒロ杉山 プロフィール

アーティスト/アートディレクター。 1997年にクリエイティブユニット「ENLIGHTENMENT(エンライトメント)」を立ち上げ、2002年に開催された村上隆キュレーションのグループ展「スーパーフラット」では、現代アートの世界から注目を集める。 パリ、上海、ナポリなどに加え、2020年には阪急メンズ東京=タグボートギャラリーにて個展「DROP SHADOW」を開催するなど、国内外の展覧会でアート作品を発表している。 また、広告や雑誌、CDジャケットなど幅広いジャンルで独特の世界観を表現している。 さらに、PV制作やVJでの評価も高く、m-floや三代目J SOUL BROTHERSなど有名アーティストのライブ映像も手掛ける。 近年では活動の幅を広げ、立体作品や空間演出など多方面にわたって創作活動を展開している。

PROGRAM INFO
ENTRANCE ●新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、無観客配信と致します。このプログラムはライヴストリーミングでお楽しみください!!!!!