2021/05/27 THU 19:00-23:00

Publib Presents 実写版「プリミティヴ・ブラックメタル・ガイドブック」

True、Lo-Fi、Raw 〜 原始主義・原理主義・復古主義 デスメタル襲撃・アンチクライスト、
躊躇いなく教会放火や殺人を犯す武闘派

■TALK:田村直昭、ハマザキカク(Publib)
■MUSIC CLIP JOCKEY PRIMITIVE BLACK METAL ONLY
●DJ:田村 "BLOOD FIRE DEATH” 直昭|BROADJ#2962

■「プリミティヴ・ブラックメタル・ガイドブック」True、Lo-Fi、Raw 〜 原始主義・原理主義・復古主義 デスメタル襲撃・アンチクライスト、躊躇いなく教会放火や殺人を犯す武闘派

現在全国の映画館で上映中の『LORDS OF CHAOS ロード・オブ・カオス』。先日、このDOMMUNEにて映画公開&書籍復刊記念が放送された。その映画の元となる書籍『ロード・オブ・カオス 復刊ブラック・メタルの血塗られた歴史』に解説文を寄せたのは田村直昭。彼は、2010年に本邦初のブラックメタル解説書『Shadows of Evil』を出版していた。そして『ロード・オブ・カオス』の上映が始まる直前の2020年11月に『プリミティヴ・ブラックメタル・ガイドブック』を出版していたのである。今回DOMMUNEでは前回の『LORDS OF CHAOS』@DOMMUNE!!!!や、映画では登場せず、しかも『Shadows of Evil』でも扱われなかったブラックメタルの中でも、特に重要でマニアックなプリミティヴ・ブラックメタルの数々を紹介する。近年、多様なサブジャンルへの枝分かれが著しいブラックメタルの中でも、最も正統かつ本流のプリミティヴ・ブラックメタルを徹底的に解説する予定だ。初期ブラックメタルの猟奇的な事件の部分だけが繰り返しセンセーショナルに消費され続け、更には映画化までされた事で一般層にも知れ渡ってしまったことに対して、苛立ちを覚えている真のブラックメタルファン必見の番組となるであろう!!!!!

■「プリミティヴ・ブラックメタル・ガイドブック」Publib

1980年代にVenomから始まり、Hellhammer/Celtic FrostやBathory、Sodom(初期)等のサタニック・スラッシュメタルがブラックメタルの礎を築いた。すでにVenomが『Black Metal』のタイトルでアルバムをリリースしていたので、「ブラックメタル」という言葉は存在していた。ただし、ジャンルとしての「ブラックメタル」はまだ存在していなかった。先述のバンド達が特異な存在として一部マニア層から絶大な支持を得ていたに過ぎなかった。しかし、アンダーグラウンドのパワーは絶大である。ノルウェーのMayhem、スウェーデンのMorbidやMefisto、フィンランドのBeheritやArchgoat、イタリアのMortuary Drape、ギリシャのRotting Christ、チェコのMaster’s HammerやRoot、ハンガリーのTormentor、アメリカのVon、カナダのBlasphemy、ブラジルのMystifier、コロンビアのParabellumやInquisition、日本のSabbat等のサタニックで暗黒なバンドが1980年代中盤から後半にかけて世界中から登場する。
本格的なブラックメタルが確立したのは1990年である。Mayhemによるコープス・ペイントを施した過激なライヴがノルウェーのアンダーグラウンド・シーンを一気にブラックメタルに染め、瞬く間に世界中へ広まっていった。ノルウェーをトップに、隣国のスウェーデンやフィンランド、そしてヨーロッパ全域から北米、中南米、アジアまで、1990年代初頭には中東とアフリカ地域以外から、数多くのブラックメタルが登場する。そして、ノルウェーのインナー・サークルによる教会放火や殺人事件がセンセーショナルに報じられたことで、ブラックメタルの存在が一気に注目を集めた。この頃はまだ事件性のみ着目され、ブラックメタルの音楽性がまともに語られるのは、熱心なファン間のみであった。さらに、インナー・サークルの中心人物であったMayhemのEuronymousが閉鎖的にアンダーグラウンド主義であったことから、ブラックメタルがオーバーグラウンドへと浮上することはなかった。しかしEuronymousの死後、1990年代後半にはメジャー化するバンドが出現することで一般メタル・ファン層にもブラックメタルの認知度が高まっていく。さらに2000年代になると、ブラックメタルの音楽性が急速に拡大。多くの細分化されたジャンルを生み出していく。往々にしてアンダーグラウンドの音楽は、ジャンル隔てなく様々な音楽性が異種交配し、それにより新たなジャンルが生まれるケースが多い。ブラックメタルもまたアンダーグラウンドな音楽であるが故に、多彩な音楽性を貪欲に取り込むことで、多くのサブジャンルが誕生した。その中でも、本格的にブラックメタルが確立された1990年代初頭の音楽スタイルから影響を受け、継承していったのが「プリミティヴ・ブラックメタル」という分野である。
「プリミティヴ」とは「原始的」の意味。つまり、極力装飾品のない剥き出し状態の音を発するのが「プリミティヴ・ブラックメタル」であると定義できる。ただし1990年代初頭から、アンビエントやインダストリアルに寄ったり、シンフォニック要素が大きかったり、フォークやトラッドを取り入れたりしたバンドも少なからず存在していた。すなわち、1990年代初頭のブラックメタルの中でも、1980年代のサタニック・スラッシュメタルの影響下にある原始的なスタイルが「プリミティヴ・ブラックメタル」であると言える。あくまでも1990年代の音にこだわるために、意識的に音質を落としたプロダクションにしたり、Lo-Fiな音像にしたりするバンドが多いのも特徴である。
音楽ジャンル区分はあくまでも指標のようなもの。「プリミティヴ・ブラックメタル」もまた、明確な線引きをすることは困難を極める。本書では「真性」「原始的」をキーワードとして「プリミティヴ・ブラックメタル」を選出した。バンド名だけで見れば、今は大御所として大成したバンドもおり、「一体彼らのどこがプリミティヴなのか?」と思われる事もあろう。そういったバンドも最初期の音源は実にプリミティヴだったりするのである。そもそも、このフレーズ自体が後世になってから言われ始め、当時、必ずしも当事者たちが自らを「プリミティヴ・ブラックメタルだ」と自認していた訳ではなかったのである。どのバンドをプリミティヴ・ブラックメタルと認定するかは、そう単純な話ではない。
また一般的には、そのバンドが他ジャンルのメロディック・ブラックメタルや、DSBM、アンビエント・ブラックメタル、ベスチャル・ブラックメタルなどと認識されていたとしても、その中にプリミティヴ要素がある程度見いだされる場合、積極的に取り上げる事にした。
ブラックメタル・サブジャンル間の相互影響は甚大で、バンドによって幾つもの様相を帯びることがある。ジャンルの間にはっきりとした境界線がある訳ではなく、それはグレースケール状である。したがって一部の有識者やマニアからは、本書でプリミティヴ・ブラックメタルとして取り上げる事に疑問を呈されるバンドもいるはずだ。その点については、筆者の恣意的な感覚にある程度、委ねられている事を予めご理解頂いた上で、読み進めて頂ければ幸いだ。

■田村直昭 (タムラ ナオアキ)

1971年生まれ、埼玉在住。Bon JoviとEuropeからメタルに入った普通の高校生だったが、スラッシュメタル、デスメタルと進み深みにハマっていく。ノルウェーのインナーサークルに衝撃を受けブラックメタルを追求するようになった。2010年にブラックメタルのディスクガイド『Shadows of Evil』を執筆/編集。disk union勤務。

PROGRAM INFO | スタジオ観覧限定30名有観客配信
ENTRANCE ¥2000(ソーシャルディスタンシングを強化し、30人限定でスタジオ観覧者受け付けます。Peatixでスタジオ観覧チケット販売中▶︎http://primitiveblackmetal.peatix.com
PLACE 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
15-1 Udagawa-Cho Shibuya-ku Tokyo 150-0042|Shibuya PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
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<新型 コロナウイルス等感染症予防および拡散防止対策について>