2022/02/18 FRI 19:00–24:00

「Plateaux of NOISE32 / 現代ノイズ進化論」32
リチャード・H・カーク追悼番組「The Voice of キャバレー・ヴォルテール」

Richard H. Kirk The Voice of Cabaret Voltaire

●出演:宇川直宏(DOMMUNE)、佐々木秀典(zoo tapes)、持田保(INDUSTRIAL MUSIC FOR INDUSTRIAL PEOPLE著者) ●LIVE & TALK:GIL KUNO(UNSOUND)、CARL STONE
●Supported by Traffic

■全世界のインダストリアルピープル、必須の儀式、「Plateaux of NOISE / 現代ノイズ進化論」第32章リチャード・H・カーク追悼番組「The Voice of キャバレー・ヴォルテール」!!!!

昨年、9月21日、キャバレー・ヴォルテールのリチャード・H・カークが亡くなった。享年、65歳。コロナ禍での逝去であったが、死因については明らかにされていない。DOMMUNEでは2014年の3331 Arts Chiyodaで行なった「DOMMUNE UNIVERSITY OF THE ARTS / KANDA INDUSTRIAL」というフェスティヴァルに、ニーナ・クラヴィッツ、Ovalと共に、キャバレー・ヴォルテール名義での出演オファーをMUTEを通じて出したが、ベルリンのAtonal Festivalの時期と重なっていて残念ながら実現しなかった。しかし律儀なMUTEレコードのオーナー=ダニエル・ミラーは、DJセットとモジュラーセットの2ステージで自ら来日し、僕らDOMMUNEのエクストリームなフェスティバルに花を添えてくれた。
2021年、9月21日にMUTEによって発表された訃報には
「大きな悲しみと共に素晴らしい親愛なる友人であるリチャード・H・カークが亡くなったことを発表します。彼はクリエイティヴで非常に優れた天才で、その人生とキャリアを通して並外れた道を率いてきました。彼のことが非常に惜しまれます。」と記されていた。多分ダニエル・ミラーの言葉であろう。
当時、訃報と共にリリースされたニュースには、2020年11月20日のパンデミック只中で世に問うたニュー・アルバム『Shadow Of Fear』について語る中、新型コロナウイルスの危機に言及したインタビューの一部が拡散された。リチャード・H・カークは「アルバムの制作が終わったのと同時に、この天変地異(コロナ禍)が飛び込んできたんだ。『シャドー・オブ・フィアー』(恐怖の影)というタイトルは計らずも的を得たタイトルとなった」。「全てのヴォーカルはこの社会的パニックが起こる前に録音し終わっていたから、現在の状況が私の行動に影響することはなかったが、私が生来持っている分裂症気味の性格のせいで、作品の中に現在の情勢をとらえるようなヒントが何か見えるかもしれない」反芸術運動=チューリヒ・ダダ発祥の地であるキャバレー・ヴォルテールを名乗るインダストリアルの始祖が、コロナ禍に放ったなんとも暗示に満ちた言葉である。
ペストによって中世ヨーロッパの時代が終止符を打ち、文化が大きく推移し、ネサンス(復興)が生まれ近代化が進展したように、ノイズ/インダストリアルの"ロックンロール解体運動"を推進したリチャード・H・カークが、もし今も在世ならば、COVID-19によるポストパンデミックをどのように描いただろうかと想像すると残念でならない。
ele-kingの野田努氏に以下、キャバレー・ヴォルテールの歴史を紐解いてもらった。

Cabaret Voltaire(キャバレー・ヴォルテール)73年結成。シェフィールド出身。オリジナル・メンバーはリチャード・H・カーク(guitars, keyboards, tapes)、スティーブン・マリンダー(vocals, bass, keyboards)、クリス・ワトソン(81年に脱退/ keyboards, tapes)。79年にデビュー・アルバムをリリースし、15枚のスタジオ・アルバムをリリースしている。95年以降は活動休止中だったが、最も再結成が望まれるバンドのひとつであった。バンド名はもちろんダダイズムの拠点に由来するが、カットアップと呼ばれる切り貼りの手法を音楽に取り入れて、テープを使ってさまざまなノイズを合成し、初期の頃はライヴをすれば客席からぶん殴られるほど挑発的だった。1978年、スタジオにミキサーとマルチトラック・テープレコーダーを手に入れたキャブスは、商業主義に惑わされずにやりたいことをやる自由を手にした。このやり方が、1990年代のエイフェックス・ツインやオウテカなどのベッドルーム・テクノの基盤となった。ちなみに、初期のキャブスと行動をともにしていたのが、ヒューマン・リーグ/ヘヴン17のメンバーたちだった。
そして1978年の秋にラフトレードと契約すると、今日、ポストパンクの代名詞とも呼べるシングル「ナグ・ナグ・ナグ」をリリースする。1982年には初来日公演も実施。会場であるツバキハウスは超満員で、その時のライヴ録音は、『Hi!』というライヴ・アルバムでリリースされている。いまだに評価の高い、1983年の『ザ・クラックダウン』以降は、ダンサブルなビートをモノにして、ヒットチャートさえうかがえるインダストリアル・サウンドを確立した。デトロイト・テクノの雄、デリック・メイをリミキサーとしていち早く起用したのも彼らである。また、アシッド・ハウスの時期は、リチャード・H・カークが地元に誕生した当時はまだ若いレーベル、ワープのためにスウィート・エクソシスト名義で作品を出して、テクノ・ムーヴメントの盛り上げにひと役買っている。
テクノが拡大した1990年代前半は最初の再評価が起きて、ヴァージンからリメイクされたベストが出ている。そして、2002年のポストパンク・リヴァイヴァルにおいては、ノヴァミュートが「ナグ・ナグ・ナグ」を新ヴァージョン入りで再発して話題となり、若い世代からも賞賛されている。そして、アンディ・ストットやファクトリー・フロアなどのインダストリアル・サウンドがふたたび脚光を浴びている今日、オリジネイターであるキャバレ・ヴォルテールは、リ・リ・リヴァイヴァルしている。テクノの名門ミュートが過去の音源を買取り、もっとも再評価の高い『ザ・クラックダウン』をはじめとする、彼らの再発が2013年末から2014年にかけて展開される。パンクでテクノでノイズのキャブスの時代が、またやって来たのである。
2020年、未曾有の事態のなかで、26年ぶりに放たれたキャブスのアルバム『Shadow Of Fear』そして2021年、「シャドウ・オブ・ファンクEP」を発表。更には相互に関連した2枚のドローン・アルバム、『Dekadrone』、『DN9Drone』をリリースし、彼は結局、ぶっ倒れるまで作り続けた。「彼は最後まで、ハングリーでアングリーでファンキーだった」とは『ガーディアン』の追悼記事の見出しだが、いやまったく、本当にその通りだ(野田努/ele-king)。

DOMMUNEの長寿ノイズ・アヴァンギャルド番組=「Plateaux of NOISE / 現代ノイズ進化論」第32章は、そんなリチャードの生前の活動を紐解きながら、没後5ケ月に満を辞して哀悼の意を捧げる!!!!!!! 題して、リチャード・H・カーク追悼番組「The Voice of キャバレー・ヴォルテール」!!!! 出演は、本プログラムのオーガナイザ=ZOO TAPESの佐々木秀典、そしてDOMMUNE総裁の宇川直宏、名著「INDUSTRIAL MUSIC FOR INDUSTRIAL PEOPLE」の著者である持田保!!!!! さらには √K Contemporaryで2/19~3/26にかけて開催される個展「ON::OFF::ON」を控えた、ニューヨークを拠点として国際的に活動するアーティスト=ギル久野、そして、現在のコンピュータミュージックの先駆者の一人であるカール・ストーンが、リチャードに向けた弔辞のようなライヴを行う。全世界のインダストリアルピープル、必見の儀式である...(Text by DOMMUNE)

PROGRAM INFO
ENTRANCE ¥2,000(ソーシャルディスタンシングを意識し30人限定でPeatixでスタジオ観覧者を募集中です!ここから予約をお願い致します!) ▶︎https://dommunenoise32.peatix.com
PLACE 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
15-1 Udagawa-Cho Shibuya-ku Tokyo 150-0042|Shibuya PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
SUPER DOMMUNE FLOOR GUIDE  MAP
  ■ ご来場者はカメラに映る可能性がごさいますので、ご了承のうえご参加ください。
■ スタジオには、クロークやロッカーございません。手荷物は少なめでご来場のうえ、ご自身での管理をお願いします。
■ ドリンク類はスタジオ内でお買い求めいただけます。お飲み物の持ち込みはご遠慮ください。
<新型 コロナウイルス等感染症予防および拡散防止対策について>