2022/03/15 TUE 19:00-21:00

シネマヴェーラ渋谷 Presents 武満徹を「視る」

●企画・モデレーター:樋口尚文(映画評論家、映画監督)
●出演:武満眞樹(音楽プロデューサー)、鈴木大介(クラシックギター奏者)、藤木大地(声楽家)、内藤由美子(シネマヴェーラ渋谷支配人)、朝倉史明(編集者)●声の出演:宇川直宏(現在美術家、DOMMUNE)
協力:NTTデータ ルウィーブ株式会社 / Mr. Peter M. Grilli


「乾いた湖」©1960 松竹

■19:00-19:30 シネアスト武満徹

「徹の横顔、そして映画人たちとの交流」

出演:武満眞樹、樋口尚文

■19:35-19:55 武満徹の映画音楽から

「ゆかりの奏者による武満作品の演奏」

演奏:『他人の顔』(鈴木大介)、『めぐり逢い』(藤木大地+鈴木大介)

■20:00-20:25 武満徹を「視る」

「シネマヴェーラ渋谷 特集上映〈日本の映画音楽家Ⅰ 武満徹〉について」

出演:内藤由美子、樋口尚文

■20:30-20:55 日本映画音楽史を形作る人々 

「秋山邦晴の日本映画音楽史を形作る人々 アニメーション映画の系譜について」

出演:朝倉史明、樋口尚文


「砂の女」©1964 草月会

■〈日本の映画音楽家I 武満徹〉作曲家としての才能とはまた別の、武満徹の音の感覚の凄さを目の当たりにする映画祭

text:AYUO intoxicate 2022 February from MiKiKi
https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/31135

武満徹は〈音〉の感覚は他の人間にめったにないほど優れていた。音の一つ一つを敏感に感じて、それがどのような効果があるかを理解していた。これは作曲家としての武満徹とは別の才能だった。多くの映画監督も、このような〈音〉の付け方は出来なかった。武満徹が音楽を担当している映画は、必ずしも一人で作曲しているわけではなかった。ロックのマジカル・パワー・マコ、電子音楽には秋山邦晴、ピアノ作品に一柳慧や高橋悠治等がクレジットされていたりする。篠田正浩監督の「心中天網島」ではバリ・ガムランやトルコの祭り笛と太鼓の音をそれまで誰にも思いつかないような見事な音の付け方をしていた。ザ・クラッシュというパンク・バンドのジョー・ストラマーもアレックス・コックスに映画音楽を頼まれた時、監督と共に武満徹の音楽の付け方を研究してから自分の音楽を作り出した。
特に上映リストに入っている勅使河原宏監督の映画は、武満徹の音楽が世界中で注目された。「他人の顔」は弦楽の曲がテーマで始まり、電子音楽もあれば、武満徹の歌曲としての名曲の一つ〈ワルツ〉が含まれている。この曲は、どのジャンルのものとは言えないほどの個性的な魅力を持っている。僕自身は、この曲に中東のリズムを与えた上でサイケデリック・フォークのようなアレンジで歌って来た。この一つの映画だけでも武満徹の音楽のいろいろな面が聴ける。
近年、安部公房の「砂の女」と「他人の顔」がアイデンティティの問題を扱っているということでアメリカや英国で話題になっている。自分の本来の顔を事故で失くして、「他人の顔」で生きると言うのは性格さえも変わってしまうことである。主人公は黒人として生きることや差別されて生きていくことを考える。自分の今までの社会の立場を失って、遠く離れた砂の中で知らなかった女の人と過ごす「砂の女」の男。自分とは何か? 自分の生きる環境が変わると自分はどう変わるのか? これは民族、人種、ジェンダーとは何か、という問題につながって行く。今まではアイデンティティがあいまいな人ほど過激なカルト教や政治集団に誘われやすかった。しかし、遺伝子を科学的に調べると〈民族〉とはウソであって、全ての人の中にいろいろな遺伝子が混ざっているために、それを育てた環境の方が重要になって来ると多くの科学者が書いている。
今回の映画祭ではショート映画や篠田正浩、羽仁進、小林正樹、成瀬巳喜男、松本俊夫、ドナルド・リチー等のめったに見れない映画作品も上映される。今回、上映される映画の音楽は現在廃盤になっている小学館の武満徹全集に入っている。Ayuoがこの企画のためにアレンジした勅使河原宏と恩地日出夫の映画の曲は許可を頂いてネットのayuo.bandcamp.comにアップされています。

DOMMUNEではこのシネマヴェーラ渋谷の特集「日本の映画音楽家I 武満 徹」を記念して、映画評論家、映画監督の樋口尚文氏の企画・モデレーションによる"武満徹を「視る」” という番組をストリーミングします。 第一部は「徹の横顔、そして映画人たちとの交流」と題し、シネアストとしての武満徹を娘の武満眞樹氏がDEEPに語ります。 第二部は「ゆかりの奏者による武満作品の演奏」と題し、鈴木大介氏が武満徹の映画音楽から『他人の顔』を演奏、藤木大地氏が『めぐり逢い』を歌唱致します。 第三部は、今回の番組の本題、シネマヴェーラ渋谷による特集上映〈日本の映画音楽家Ⅰ 武満徹〉について内藤由美子氏が解説。そして第四部は、「秋山邦晴の日本映画音楽史を形作る人々 アニメーション映画の系譜」について、武満徹の映画音楽と比較しながら、朝倉史明氏が語る必見の一夜です!

<INFORMATION>

特集 日本の映画音楽家I 武満徹

2022年3月26日(土)~2022年4月15日(金)東京・渋谷 シネマヴェーラ渋谷
1週目:土砂降り/乾いた湖/彼女と彼/日本脱出/乱れ雲
2週目:からみ合い/自動車泥棒/あこがれ/青幻記 遠い日の母は美しく/火まつり
3週目:女体/最後の審判/めぐりあい/日本の青春/弾痕
2本立て:熱海ブルース/京 氣 BREATHING/白い朝(4カ国合作オムニバス映画「15才の未亡人たち」の日本編)
特別上映:おとし穴/砂の女/他人の顔
http://www.cinemavera.com/preview.php?no=274

<武満 徹 トークショー>

2022年3月26日(土)東京・渋谷 シネマヴェーラ渋谷
開演:13:05 「彼女と彼」上映後
ゲスト:武満真樹
聞き手:樋口尚文

2022年4月2日(土)東京・渋谷 シネマヴェーラ渋谷
開演:13:25 「青幻記 遠い日の母は美しく」上映後
ゲスト:高橋アキ
聞き手:高崎俊夫
http://www.cinemavera.com/info.php

■武満徹(1930-1996)

ほとんど独学で音楽を学び、のちに若手芸術家集団「実験工房」に所属し、映画やテレビなどで幅広く前衛的な音楽活動を展開。和楽器を取り入れた「ノヴェンバー・ステップス」によって、日本を代表する現代音楽家となった。
若い頃から映画を深く愛し、年間に数百本の映画を新たに見ることもあった。羽仁進『不良少年』(1961年、第16回毎日映画コンクール音楽賞受賞)、小林正樹『切腹』(1962年、第17回毎日映画コンクール音楽賞受賞)、勅使河原宏『砂の女』(1964年、第19回毎日映画コンクール音楽賞受賞)、『他人の顔』(1966年、第21回毎日映画コンクール音楽賞受賞)などの映画音楽を手がけ、いずれも高い評価を得ている。ヴィクトル・エリセの映画『エル・スール』を絶賛しているほか、アンドレイ・タルコフスキーに深く傾倒し、タルコフスキーが1986年に他界すると、その死を悼んで弦楽合奏曲「ノスタルジア」を作曲している。

PROGRAM INFO
ENTRANCE ¥1,000(ソーシャルディスタンシングを意識し30人限定でPeatixでスタジオ観覧者を募集中です!ここから予約をお願い致します。また、このプログラムは1ドリンク制になります。エンドランスでドリンクをご購入ください。 ▶︎https://takemitsudommune.peatix.com
PLACE 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
15-1 Udagawa-Cho Shibuya-ku Tokyo 150-0042|Shibuya PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
SUPER DOMMUNE FLOOR GUIDE  MAP
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<新型 コロナウイルス等感染症予防および拡散防止対策について>