2023/07/26 WED 19:00-21:00

「エコゾフィック・アート」とは?自然・社会・精神をつなぐ可能性を探る!

●出演:岩崎秀雄(生命科学・生命美学研究者、アーティスト)、深澤孝史(美術家/オンライン参加)、渡辺志桜里(美術家)、四方幸子(エコゾファー)●MC:宇川直宏(”現在"美術家)

■「エコゾフィック・アート」とは?自然・社会・精神をつなぐ可能性を探る!

エコロジーを自然だけでなく精神・社会にまで拡張するものとして、フェリックス・ガタリが構想した「エコゾフィー」と、「社会彫刻」としてのアートという理念を掲げたヨーゼフ・ボイスを出発点に、データ、水、人、動植物、気象など「情報のフロー」から、アート、自然・社会科学を横断する活動を展開、30年以上にわたりメディアアートや実験的なプロジェクトの第一線で活動してきたキュレーター/批評家の四方幸子。
初の単著となる『エコゾフィック・アート 自然・精神・社会をつなぐアート論』(フィルムアート社)は、2020年からの生涯テーマ「人間と非人間のためのエコゾフィーと平和」を基軸に、コロナ禍の只中の2021年春から今春までの2年間に書かれたもので構成されている(書き下ろしも含む)。
原稿はいずれも、出会い対話を続けてきた人々の実践に触発され、自然に感応し、社会や科学・技術の動向を見守りながら編み上げたものである。とりわけアーティストたちからは、計りしれないインスピレーションとエネルギーを受け取った。原稿は、危機的(クリティカル)な時代において批評と自由度の高いエッセイを共存させる新たなライティングの方法を試みたもので、四方は「批評-エッセイ」(四方)と名づけている。
この本は、数多くのアーティストたちの作品を通じて、人間中心主義を超えた共生的で創造的な未来へのヒントや、変容の中でのさまざまな存在同士の関係性への気づきを与えてくれる。それは四方が追求する「コモンズ」としてのアートの可能性を、広く人々に投げかける試みと言える。
四方は1986年ハラルド・ゼーマンに会っている。ボイスとも世界観を共有する彼のキュレーションした展覧会の一つに「態度がかたちになる時」(ベルン・クンストハレ、1969)があるが、まさにこのような、動的な「態度(attitude)」が、そのプロセスの中で「かたち」を生み出すことを、四方はずっと念頭に活動を続けてきた。そしてその「かたち」は、プロセスの一形態として、新たな情報リソースとして別の流れや態度、かたちを生み出していく。まさに世界のあらゆるものを情報フローの中に捉え、「コモンズ」と見なし、「共同創造」へと開いていくこと…「はじめも、終わりもない」(四方、1990s)という世界に、「エコゾフィック・アート」は寄り添っている。
「エコゾフィック・アート」とは?自然・社会・精神をつなぐ可能性を探る!」この番組では、この本を起点にしながら、四方のこれまでの取り組みが、ボイスの「エネルギーの流動」や「社会彫刻」、そしてガタリの「エコゾフィー」(自然・社会・精神における3つのエコロジー)を軸に、それらを情報によってつなげ循環させていくアプローチで行われてきたことを確認しつつ、2023年についに「エコゾフィック・アート」という名称で投げかけられた、この言葉そして概念を、出演者とともに検討する。
四方は「エコゾフィック・アート」を、「メディアアート」「コンセプチュアルアート」「ポップアート」など、すでに概念化され定義された言葉と想定していない。具体的にこの言葉に収斂していくことよりも、むしろオープンに人々とともに対話をし行為や創造を生み出していくための可能性や契機として投げかけられたものであり、このトークも、出演者の皆さんやご覧いただく皆さんと一緒に考えていき発展させていく場としていきたい。
トークは、宇川直宏をMCに、岩崎秀雄、深澤孝史、渡辺志桜里。宇川と四方は、DOMMUNEの企画で共同したこと3回(それ以外に四方はDOMMUNEに何度も出演)、岩崎、深澤、渡辺は、いずれも『エコゾフィック・アート 自然・精神・社会をつなぐアート論』に登場する。

<出演者プロフィール>

■岩崎秀雄(いわさき ひでお)

生命科学・生命美学研究者、アーティスト。metaPhorest主宰、早稲田大学理工学術院教授。科学と芸術の一筋縄ではいかない界面・関係性に興味を持ち、生命をめぐる科学・思想・芸術に関わる表現・研究のプラットフォームmetaPhorestを2007年より運営、国内外で作品制作・研究発表を行っている。「細胞を創る」研究会の創設にも従事、2016年度会長。現在、日本時間生物学会副理事長など。主著に『<生命>とは何だろうか:表現する生物学、思考する芸術』(講談社、2013)。生物時計や形態形成の研究で文部科学大臣表彰若手科学者賞、時間生物学会奨励賞、ゲノム微生物学会奨励賞、”Culturing <Paper>cut”で文化庁メディア芸術祭優秀賞など。 https://hideo-iwasaki.com

■深澤孝史(ふかさわ たかふみ)

美術家。1984年山梨県生まれ、札幌在住。 主に参加型のプロジェクトを制作。場所ごとにリサーチを経て仮設の理念を設定してその理念に沿って活動を試みる。 2011年より《とくいの銀行》(取手アートプロジェクト、山口情報芸術センター、札幌国際芸術祭2014など)を開始。 2016年《常陸佐竹市》(茨城県北芸術祭2016)。 2021年に山梨アートプロジェクト(山梨県立美術館)で《道祖神リプレゼンテーション》を実施。 2022年より秋山郷(新潟県津南町と長野県栄村にまたがる山間の地域)のリサーチを始める。 現在台湾に短期滞在(tresure hill artist villageレジデンスプログラム)し、日本統治時代に作られた製糖工場をリサーチ中。今回は、台湾からオンラインで参加。

■渡辺志桜里(わたなべ しおり)

美術家。1984年東京都⽣まれ。2017年東京藝術⼤学⼤学院美術研究科彫刻専攻修了。全体性を主軸に、個々が集合した現象と、その個に携わる⾝体の境界といったものに焦点を当てて制作。循環し続ける⽔の中に⿂・野菜・オブジェそして微⽣物がバラバラに配置されているインスタレーション作品《サンルーム》(2018-) は、「Dyadic Stem」(The 5th Floor, 2020) 、「ベベ」( WhiteHouse, 2021)、「⽔の波紋展2021」(ワタリウム美術館,2021)と、その都度、形を変え展開していく作品である。⼀⾒して⽣態系や⾝体といった問題を扱いながらも、政治的な天皇制への独⾃の視点が盛り込まれている。2022 年「とうとうたらりたらりらたらりあがりららりとう」(新宿歌舞伎町能舞台)をキュレーション。

■四方幸子(しかた ゆきこ)

エコゾファー。キュレーター/批評家。美術評論家連盟会長。「対話と創造の森」アーティスティックディレクター。多摩美術大学・東京造形大学客員教授、武蔵野美術大学・情報科学芸術大学院大学(IAMAS)・國學院大学大学院非常勤講師。「情報フロー」から諸領域を横断する活動を展開。1990年代よりキヤノン・アートラボ(1990-2001)、森美術館(2002-04)、NTTインターコミュニケーション・センター[ICC](2004-10)と並行し、インディペンデントで先進的な展覧会やプロジェクトを多く実現。国内外の審査員を歴任。共著多数。2023年に単著『エコゾフィック・アート - 自然・精神・社会をつなぐアート論』を刊行。HILLS LIFE DAILYに「Ecosophic Future」を連載中。yukikoshikata.com

■宇川直宏(うかわ なおひろ)

1968年香川県生まれ。現”在”美術家。映像作家、グラフィックデザイナー、VJ、文筆家、大学教授など、80年代末より、さまざまな領域で多岐にわたる活動を行う。2001年「Buzz Club: News from Japan」(MoMA PS1・ニューヨーク)、「JAM: Tokyo-London」(Barbican Art Gallery・ロンドン)に参加して以来、国内外の多くの展覧会で作品を発表。2010 年には、日本初のライブストリーミングスタジオ兼チャンネル「DOMMUNE」を個人で開局。記録的なビューワー数で国内外にて話題を呼び、2011年文化庁メディア芸術祭推薦作品に選出される。宇川はDOMMUNEスタジオで日々産み出される番組の、撮影行為、配信行為、記録行為を、自らの"現在美術作品"と位置づける。2021年、第71回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。

PROGRAM INFO
ENTRANCE ¥1,000(超エクスクルーシヴな限定50人スタジオ観覧チケット Peatixで緊急販売中!!! ▶︎https://ecosophicartdommune.peatix.com もしくはキンキンに冷えたスタジオに直接お越しください!!)
PLACE 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
15-1 Udagawa-Cho Shibuya-ku Tokyo 150-0042|Shibuya PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
SUPER DOMMUNE FLOOR GUIDE  MAP
  ■ ご来場者はカメラに映る可能性がごさいますので、ご了承のうえご参加ください。
■ スタジオには、クロークやロッカーございません。手荷物は少なめでご来場のうえ、ご自身での管理をお願いします。
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<新型 コロナウイルス等感染症予防および拡散防止対策について>