2024/05/15 WED 19:30-23:30

北出栞『「世界の終わり」を紡ぐあなたへ
―デジタルテクノロジーと「切なさ」の編集術』 刊行記念

太田出版 Presents「Y2K・ボーカロイド・現代美術―〈セカイ系〉文化論の現在地」

●出演:北出栞、柴那典、宇川直宏、藤田直哉、布施琳太郎
●Performance(収録):KAIRUI×米澤柊、Telematic Visions×cosgaso

■「Y2K・ボーカロイド・現代美術 ―〈セカイ系〉文化論の現在地」

2020年代に入り、定着して久しい「Y2K」の美学。そのくすんだ、淡いフィルターのかかったデジタル画像の質感は、通信速度も貧弱で処理能力も低かった、2000年代初頭当時のインターネットやコンピュータの体験の中にあった、個人と「世界」をつなぐ希望を、「あり得たかもしれない未来」のイメージとして私たちに差し出すのだ。
そんな同時代性とともにある言葉として〈セカイ系〉がある。「主人公と(たいていの場合は)その恋愛相手とのあいだの小さな人間関係を、社会や国家のような中間項の描写を挟むことなく、「世界の危機」「この世の終わり」といった大きな問題に直結させる想像力」のように定義され、エヴァンゲリオン、新海誠作品などが代表的とされるこの言葉を、上記の感覚に通ずる美学として定義し直したのが、北出栞の初著作『「世界の終わり」を紡ぐあなたへ』である。北出によれば、浜崎あゆみの音楽や岩井俊二の映画、その影響を受けて作られた現代のラップミュージックやボーカロイド音楽なども、この議論の射程に収まるという。
北出が提示する〈セカイ系〉は、今日のSNSとスマートフォンが助長する、顕名的で情動の暴走しやすい時代に対して、匿名的で沈黙の内にとどまる、「半透明」な感覚を得るための回路を提供する。本イベントでは、そうした感覚を形にする若手アーティストによる映像・音楽も交え、現代のデジタルテクノロジーと文化事象を交差させた、新たな語り方を探っていく。

<TALK1> 柴那典、宇川直宏、北出栞

米津玄師ら「ボカロ出身」ミュージシャンの草分け的存在と同世代で、彼らと同様に日本のロックカルチャーとアニメカルチャーに影響を受けてきた筆者。インディーアニメーション作家が手がけたミュージックビデオのヒットなどもあり、双方のカルチャーの相互浸透が進む中、作家自身がどのような感性に基づいて作品を作っているのか捉える言葉が発明されていないのではないか……というのが本書を執筆する動機のひとつだった。10年前に刊行され、今なおボーカロイド文化論の基本書として読み継がれる『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』著者の柴那典さん、ミュージックビデオを1990年代から2010年のDOMMUNE開局までに100本以上監督してきた宇川直宏さんを交え、ミュージックビデオから、ライヴストリーミング、XR、そして生成AIのText to Videoなど、音楽×ビジュアルカルチャーの語り方について議論する。

<Performance1> KAIRUI × 米澤柊

本書の装画を手掛けたアーティスト/アニメーター米澤柊さんが、トラックメイカーのKAIRUIさんとタッグを組んだ「EASTEAST_2023」でのパフォーマンス「あたたかさをすくって」を特別に再配信。KAIRUIさんはボーカロイドを用いたオリジナル曲を発表する傍ら、DJとしての出演、VSingerやアイドルへの楽曲提供など幅広く活躍。米澤さんの個展にも音楽を提供している。米澤さんも、東京スカパラダイスオーケストラ「会いたいね。゚(゚´ω`゚)゚。 feat.長谷川白紙」MVへの参加や、イベント「自然の中で起きている美しい現象すべて」を主宰する(駒澤零さんと共同)など音楽との関わりが深い。

<TALK2>藤田直哉、布施琳太郎、北出栞

2000年代後半から批評家として活動、キャリア初期には〈セカイ系〉言説の一翼も担った藤田直哉さん。自身のライフステージの変化にも向き合いつつ、地続きの展開を模索してきた彼が、「セカイ系の影響を受け、ネット時代のつながり方や心や親密さの問題をより先に進めようとする」著述家として、筆者と、(拙著でも作品について言及した)アーティストでもある布施琳太郎さんの名前を挙げていた。2000年代初頭=SNS以前のインターネット、ネオテニー性、制作論……〈セカイ系〉概念の批評的核心とは何か。布施さんの著作『ラブレターの書き方』と拙著の相互レビューを踏まえ、藤田さんの著作『シン・エヴァンゲリオン論』『新海誠論』での議論も念頭に置きつつ、鼎談形式で掘り下げる。

<Performance2> Telematic Visions×cosgaso

〈セカイ系〉的感性の核心を射抜く作品として本書の中で取り上げたアルバム『Bluespring』(2021)を手がけた、Telematic Visions×cosgasoのタッグが本配信のために特別なセットを用意! Telematic Visionsは高校生だった当時、同作品にて見出され〈Maltine Records〉から2ndアルバム『town without sky』を発表、tofubeatsの周年記念remix企画にも参加するなど注目の新鋭。cosgasoは2000年代「萌え」アニメとアシッド・グラフィックスの影響を受けた無二のスタイルで「もっと!バビフェス」「第四の道」など話題のクラブイベントのビジュアルを手がける注目のクリエイター。

PROGRAM INFO
ENTRANCE ¥2,000(超エクスクルーシヴ限定50人スタジオ観覧者受け付けます。Peatixで予約募集中です!▶︎https://kitadesioridommune.peatix.com/ もしくは当日、直接スタジオにお越しください!!!!!)
PLACE 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
15-1 Udagawa-Cho Shibuya-ku Tokyo 150-0042|Shibuya PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
SUPER DOMMUNE FLOOR GUIDE  MAP
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