2024/08/05 MON 19:30-23:30

湯浅譲二「95歳の肖像 その人と作品を俯瞰する」

JOJI YUASA|A PORTRAIT OF A 95YEAR OLD

●出演:石塚潤一(音楽批評)、木下正道(作曲家)、杉山洋一(作曲家/指揮者)、鈴木治行(作曲家)、西川竜太(合唱指揮)、高橋アキ(ピアニスト)

■湯浅譲二。1929年8月12日生まれ。本年95歳となる。

湯浅譲二の電子音楽作品の重要性については、過去のDOMMUNE番組に於いても、繰り返し強調されてきた。ホワイトノイズという全ての帯域を等しく含んだノイズを、自在に彫琢するのみならず、5ch再生で聴き手の周囲で音響を旋回させる《イコン》、あるいは、言葉の意味性という観点から、音響の加算合成的な電子音楽とは全く異なった世界を打ち立てた《ヴォイセス・カミング》。いずれの作品も、湯浅がこの作品だけしか残さなかったとしても、音楽史にその名前が銘記されたであろう、強靭な独自コンセプトをもつ名作と断じてよい。
しかしながら、さらに重要なことは、湯浅譲二とは、その電子音楽で培った感性を、オーケストラ作品等の器楽や、合唱作品の作曲へも援用していった稀有な作曲家だったということだ。
長らく、電子音楽とはクラシック/現代音楽の世界において鬼子のような存在であった。その響きもコンセプトも、現代音楽の専門家や愛好家の中で尊ばれ、器楽や合唱の演奏家に届くには至らなかった。
しかし、そんな時代はもう終わったのだろう。ポップミュージックの隆盛が、電子音楽の響きへと聴き手の耳を啓き、それはクラシックの演奏家も例外ではなかった。若い演奏家を中心として、湯浅の電子音楽的感性を血肉化した演奏を行う者が出始め、その音楽に込められた始原的な眼差しを顕らかにしていく。クラシック音楽界はようやく湯浅譲二に追いついた。これほどの慶事はそうあるはずもない。
今回、8月7日と12日に開催される湯浅譲二個展を前に、批評家の石塚潤一を中心に、湯浅作品の演奏経験豊富な杉山洋一、西川竜太、その作品の魅力をよく知る作曲家木下正道、鈴木治行とともに、湯浅譲二の人と作品を深堀する。坂本龍一も私淑した湯浅譲二、南野陽子もカヴァーした湯浅譲二。3本の大河ドラマの音楽、朝ドラの音楽でも知られる湯浅譲二。しかしながら、知られざる湯浅譲二の魅力が明らかになるのはこれからだ。ぜひ、ご期待下されたい。

■湯浅譲二(JOJI YUASA)

1929年福島県郡山市生まれ。少年期より音楽活動に興味をおぼえ独学で作曲を始める。49年慶応義塾大学教養学部医学部進学コースに入学。在学中より秋山邦晴、武満徹らと親交を結び、51年「実験工房」に参加、作曲に専念する。
以来、オーケストラ、室内楽、合唱、劇場用音楽、インターメディア、電子音楽、コンピュータ音楽など、幅広い作曲活動を行っており、国内はもとより、世界の主要オーケストラ、フェスティバルなどから多数の委嘱を受けている。これまでにニューヨークのジャパン・ソサエティ、DAADのベルリン芸術家計画、シドニーのニュー・サウス・ウェールズ音楽院、トロント大学など世界各国から招聘を受け、また、ハワイにおける今世紀の芸術祭、香港のアジア作曲家会議、英国文化振興会主催の現代音楽巡回演奏会、アムステルダムの作曲家講習会などに、ゲスト作曲家、講師として参加するなど、国際的に活動している。
81年からカリフォルニア大学サンディエゴ校教授を務め(現在名誉教授)、日本大学芸術学部、東京音楽大学、桐朋学園大学等で後進の指導にあたる。1997年、「ヴァイオリン協奏曲―イン・メモリー・オブ 武満徹─」により第45回尾高賞を受賞。同年、第28回サントリー音楽賞を受賞。1998年から2011年まで、「サントリーホール国際作曲委嘱シリーズ」の監修を務めた。2010年、国際現代音楽協会(ISCM)名誉会員に選ばれる。
受賞:ベルリン芸術祭審査員特別賞(1961)、イタリア賞(1966、67)、ヴェネチア国際記録映画祭サン・マルコ金獅子賞(1967)、尾高賞(1973、88、97、2003、2024)、日本芸術祭賞(1973、83)、飛騨古川音楽賞大賞、京都音楽賞大賞(1995)、サントリー音楽賞(1996)、芸術選奨文部大臣賞(1997)、紫綬褒章(1997)、日本芸術院賞・恩賜賞(1999)、第23回日本アカデミー賞映画音楽優秀賞(2000)、文化功労者(2014)。

■湯浅譲二 95歳の肖像 室内楽作品を中心に
2024年8月7日(水)19:00開演(18:30開場)
豊洲シビックセンターホール
https://www.confetti-web.com/events/2101

■湯浅譲二 95歳の肖像 合唱作品による個展
2024年8月12日(月・祝)18:00開演(17:30 開場)
豊洲シビックセンターホール
https://www.confetti-web.com/events/2103

PROGRAM INFO
ENTRANCE ¥1800(超エクスクルーシヴ限定50人スタジオ観覧者をPeatixにて予約受付中です!▶︎https://jojiyuasadommune2024.peatix.com/ もしくは当日直接スタジオにお越しください!)
PLACE 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
15-1 Udagawa-Cho Shibuya-ku Tokyo 150-0042|Shibuya PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
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