2024/08/27/TUE 19:00-21:00

「都築響一のスナック芸術丸」第七十夜

「ゆびさきのこい Outsider Photography in Japan」刊行記念「写真は“学ぶ”ものなのか」

●マスター:都築響一

■「写真は“学ぶ”ものなのか」なにで撮るのかではなく、なにを撮るのかだけが重要だ!今、カメラは、思いや衝動がもっともダイレクトに、エモーショナルに表現と結びつく、視覚の楽器になった!

なにで撮るのかではなく、なにを撮るのかだけが重要だ! ただギターを弾いて、ノートにリリックを書くように、写真だってデジカメやスマホで撮りまくればいい。
思いや衝動がもっともダイレクトに、エモーショナルに表現と結びつく視覚の楽器、それがカメラなのだから。 写真界の外側にいる13人の孤独な長距離走者たちが、いま突きつける写真の本分!
1837年にダゲレオタイプ写真が出現してからもうすぐ200年、言うまでもなく現代は史上もっとも大量の写真が日々撮影・公開されている時代だ。
2010年に登場したInstagramは、翌年ハッシュタグを導入したことでインターネット空間をいきなり巨大なバーチャル写真アルバムにつくりかえ、2024年には月間利用者数が20億人、人類の4分の1に達した。Facebookは月間30億人、YouTubeは24億人、TikTokが10億人、ついでに言えばPornhubが34億人(2020年)・・・・・・インターネットとデジタルカメラ(とスマホ)が、この10年かそこらでどれほど映像表現の世界に革命をもたらしたか。いまだその変革のさなかにいる僕らには全貌が見えていない。
エレキギターとアンプが長く退屈な楽器練習という壁を壊したように、新たなテクノロジーはつねに、持たざる者への可能性を拓くチャンスを与えてくれる。もちろんそれは入口に過ぎないけれど、表現への入口の敷居を低くすることがどれほど大切かを、既得権益に守られてきたプロほど認めようとしない。
長いあいだアウトサイダーの表現を追いかけてきて、それが絵画や立体だけでなく、写真を素材にした作品にも広がっていることに気がつくようになった。でも、そうした作品はカメラ雑誌に取り上げられることも、写真専門美術館や画廊の壁面を飾ることもまずない。SNS上に細々と画像をアップしてはネットの大海の波に飲みこまれ消え去っていくだけ。
スマホで撮った写真をSNSで上げているうちに、ちゃんと写真を撮ってみようと思い立つひとがたくさんいる。そこに立ちはだかるのが「カメラオヤジの壁」だ。ライカのシャッター音や暗室の現像液や定着液の匂いに魅せられる気持ちはわかるが、それは単なるフェティッシュにすぎない。自戒を込めて書くけれど、ひとは往々にして「高い機材を買う」ことで一歩前進と誤解する。実際は1ミリも進んでいないのに。
カメラオヤジが写真談義に興じているあいだに、スマホやコンビニのコピー機で、独自の写真世界を構築する孤独な長距離走者がいる。音楽マニアがアナログレコードの楽しみを楽しく語っているあいだに、だれにも聴いてもらえない音源をサウンドクラウドに上げつづけるひとがいるように。
写真を“学ぶ”必要なんてない。古今の素晴らしい写真集を見るのも、写真美術館に通うのも楽しいだろうけど、写真を撮りはじめる前にそんなことする必要もない。手近なカメラかスマホを掴んで、外に出て気になるものを撮りまくればいいだけだ。 オリジナルの曲をつくったり、ラップのリリックを書いたりするように、写真も撮ればいい。そうしていま、シャッターを押せば機械のほうで勝手にきちんと撮ってくれるカメラは、思いや衝動がもっともダイレクトに、エモーショナルに表現と結びつく、視覚の楽器になった!

PROGRAM INFO
ENTRANCE ¥2000(超エクスクルーシヴ限定50人スタジオ観覧者をPeatixにて予約受付中です!▶︎https://roadsidersdommune70.peatix.com もしくは当日直接スタジオにお越しください!)
PLACE 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
15-1 Udagawa-Cho Shibuya-ku Tokyo 150-0042|Shibuya PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
SUPER DOMMUNE FLOOR GUIDE  MAP
  ■ ご来場者はカメラに映る可能性がごさいますので、ご了承のうえご参加ください。
■ スタジオには、クロークやロッカーございません。手荷物は少なめでご来場のうえ、ご自身での管理をお願いします。
■ ドリンク類はスタジオ内でお買い求めいただけます。お飲み物の持ち込みはご遠慮ください。
<新型 コロナウイルス、インフルエンザA(H1N1)亜型、A(H3N2)亜型、B型等の感染症予防および拡散防止対策について>