
2025/10/07 TUE 19:00-21:00
「都築響一のスナック芸術丸」第七十四夜
HAPPY VICTIMS〜いつまでも着倒れ続けるために!
●マスター:都築響一 ●ゲスト:高畑鍬名(タックイン研究者、『Tシャツの日本史』著者)
■HAPPY VICTIMS〜いつまでも着倒れ続けるために!
今年7月、バルセロナの出版社アパルタメントより『HAPPY VICTIMS 着倒れ方丈記』が復刊された。去年の『TOKYO STYLE』以来、アパルタメントからは2冊目の復刊となった。
『HAPPY VICTIMS 着倒れ方丈記』はもともと、今は亡きファッション誌『流行通信』に1999年から2006年まで87回にわたった連載が、2008年に単行本になったもの。日本では2018年にいちど復刊されたが、今回のapartamento版はオリジナルから17年ぶりということになる。
今回のスナック芸術丸では、『HAPPY VICTIMS』の紹介を核に据えながら、いまこの時代のハイ・ファッションの意義、ストリート・ファッションの真実、そして日本人にとっての「服」とは・・・まで、僕らの第二の皮膚であるファッションのリアリティに、薄っぺらい流行談義を超えて踏み込んでみる!
■『HAPPY VICTIMS』はこれまで国内だけでなくフランス、ルクセンブルク、メキシコなど、海外の美術館やアートイベントでも展示され、プリントも収蔵されてきた。
美術館で展覧会を開くと、オープニング・パーティのほかにギャラリートークというのがたいていある。拙い英語で説明しながら参加者と一緒に会場を歩くわけだが、たとえばパリのおしゃれなアート・ファンたちに、分不相応なブランド・ファッションまみれの日本の若者たちがどう映るのか不安な気持ちで話してみると、いちばん多かった感想は「理解できない(冷笑)」ではなく、「わたしの友達にもこんなひといます!(爆笑)」なのだった。『HAPPY VICTIMS』の前に『TOKYO STYLE』(2024年にapartamentoから復刊)をアメリカやヨーロッパで披露したとき、日本人の狭苦しい住居をバカにされると思ったら、「若いころの自分の部屋そっくり!」という感想がすごく多かったのと一緒で、それは国境を超えた都市型生活というものへの自分の感覚を拡張してくれる体験でもあった。 ただ、取材を始めたころからすれば四半世紀経ったいま、もういちど『HAPPY VICTIMS』がつくれるかというと、うまくできる気がしない。

あのころはいまほど、どこにでもユニクロやGAPやZARAはなかった。それなり、そこそこの服が、日本中どこでも買えるという時代でなかったころを思い返すのは、もう難しいだろう。ファストフードがなかった時代に、僕らがどんなふうに食べる場所を選んでいたのか、思い出すのが難しいように。『HAPPY VICTIMS』はファストファッションが地球征服を成し遂げる、ぎりぎり直前の時代だった。
そしてまたあの時代はハイファッションとストリートファッションが厳然と区別されていた、最後の時代だったとも思う。
かつては「パリコレ」というものがあって、シーズンごとの流行色やスカートの長さが決まり、それが1年、2年という時間を経て世界の隅々に拡散していった。ぜったい手に入らないけれど、有無を言わせず美しいオートクチュールやプレタポルテの世界観があって、それは庶民の普段着とは別の場所で輝く衣裳だった。
それがいつのまにか「ストリートで生まれたものを上手にブランディングしていくのがハイファッション」ということになっていく。ブランドとストリートの上下関係が逆転とまでは言わなくても、関係のありかたがまったく変わってしまったのは、僕の記憶では2001年にルイヴィトンが発表したスティーブン・スプラウスとのモノグラム・グラフィティ・コレクションが最初の象徴で、ファンには申し訳ないが、ストリートを彩るグラフィティのパワーに比較して、あのどうしようもなくかっこ悪いデザインこそが「ブランドの終わりの始まり」に見えたのだった。

いまや時代感覚のずれた老舗メゾンが人種差別的な商品や発言でバッシングされ、「VOGUE」よりも「DIET PRADA」のようなSNSの発信源に業界人ですら依存し、ファッション雑誌はますます売れず、ひとはそれぞれ好き勝手な服を着るようになって、あからさまなブランドよりも「ほかのだれも着ていないTシャツ」のほうがオシャレとされるようになって・・・この四半世紀にファッション・デザインは、ひとつの中心を持たないまま無限に拡散していく文化現象になっていった。
いまもこれからも、素晴らしいファッション・デザインはたくさん世に現れるだろう。でも、なにかがちがう気がするのは、これまでのファッションがデザイナーから消費者への一方通行的な流れだったのに対して、これからはもっと相互に行き来し、補完しあう関係になっていくはず、と僕には思えるからなのかもしれない。
そしてまた僕らはいつの時代にも「幸せな犠牲者」だ。その対象がレコードなのか本なのか、クルマなのか服なのか、その程度の差異でしかない。千冊本を持っていれば賢いけれど、千枚服を持っているのは低俗、なんてのは世間が勝手に決めた判断基準に過ぎない。
「断捨離」とか「むやみな消費の戒め」とかがもてはやされる時代にあって、もし本書に登場してくれた着倒れ君たちが眩しく見えるとしたら、それは君がこころのどこかで「バランスの取れた暮らし」の凡庸さ、退屈さに気がつき、苛立っているからにちがいない。


| ENTRANCE | ¥1,500(超エクスクルーシヴ限定50人のスタジオ観覧者を募集しています!!!!! 当日、直接スタジオにお越しください!!!!!) |
|---|---|
| PLACE | 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO9F「SUPER DOMMUNE」 15-1 Udagawa-Cho Shibuya-ku Tokyo 150-0042|Shibuya PARCO9F「SUPER DOMMUNE」 SUPER DOMMUNE FLOOR GUIDE MAP |
| ■ ご来場者はカメラに映る可能性がごさいますので、ご了承のうえご参加ください。 ■ スタジオには、クロークやロッカーございません。手荷物は少なめでご来場のうえ、ご自身での管理をお願いします。 ■ ドリンク類はスタジオ内でお買い求めいただけます。お飲み物の持ち込みはご遠慮ください。 |
- 発熱、咳、くしゃみ、全身痛、下痢などの症状がある場合は、必ずご来場の前に医療機関にご相談いただき、指示に従って指定の医療機関にて受診してください。
- 会場にて万が一体調が悪くなった場合、我慢なさらずに速やかにお近くのスタッフにお声がけください。
- 会場には、クロークやロッカーはございません。手荷物は少なめでご来場の上、ご自身での管理をお願いいたします。
- 本イベントはDOMMUNEからの生配信を実施いたします。
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